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和歌山地方裁判所 昭和60年(わ)238号 判決 1985年10月08日

本店の所在地

和歌山市船所一八八番地

有限会社紀の川ステンレス

右代表者

楠見善章

本籍

和歌山市船所一八八番地

住居

右同所

会社役員

楠見善章

昭和八年七月二一日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官狩谷武嗣出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社紀の川ステンレスを罰金三〇〇〇万円に、被告人楠見善章を懲役一年六月に処する。

被告人楠見善章に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社は、和歌山市船所一八八番地に本店を置いて製缶、溶接、板金等の事業を営むものであり、被告人楠見は、被告人会社の代表取締役でその業務全般を統轄していたものであるが、被告人楠見は、当時被告人会社の決算及び法人税確定申告の事務に関与していた北田叔男と共謀の上、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告人会社の昭和五五年一〇月一日から昭和五六年九月三〇日までの事業年度の法人税につき、昭和五六年一一月三〇日、和歌山市通丁北一丁目一番地所在の和歌山税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告人会社の実際の所得額が六六一二万四一九〇円で、これに対する法人税額が二六六四万一九〇〇円であったのに、製品の売上高を一部除外し、仮空の材料仕入及び外注費を計上する等の方法により、その所得の一部を秘匿して、所得額が八二〇万三一六七円で、これに対する法人税額が二一八万六三〇〇円である旨の虚偽の内容の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度の法人税のうち二四四五万五六〇〇円を免れ、

第二、被告人会社の昭和五六年一〇月一日から昭和五七年九月三〇日までの事業年度の法人税につき、昭和五七年一一月三〇日、同税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告人会社の実際の所得額が一億七九二万三二五〇円で、これに対する法人税額が四四一六万四九〇〇円であったのに、前同様の方法により、その所得の一部を秘匿して、所得税額が一〇八六万三五四六円で、これに対する法人税額が三三九万九七〇〇円である旨の虚偽の内容の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度の法人税のうち四〇七六万五二〇〇円を免れ、

第三、被告人会社の昭和五七年一〇月一日から昭和五八年九月三〇日までの事業年度の法人税につき、昭和五八年一一月三〇日、同税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の被告人会社の実際の所得額が一億八九八六万三五八四円で、これに対する法人税額が七八五九万一八〇〇円であったのに、前同様の方法により、その所得の一部を秘匿して、所得額が一七八六万五二六〇円で、これに対する法人税額が六三五万二六〇〇円である旨の虚偽の内容の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度の法人税のうち七二二三万九二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人兼被告人会社代表者楠見善章の当公判廷における供述

一、被告人兼被告人会社代表者楠見善章の大蔵事務官の各質問てん末書(七通)及び検察官に対する各供述調書(二通)の謄本

一、楠見定子の大蔵事務官の各質問てん末書(一〇通)及び検察官に対する各供述調書(四通)の謄本

一、北田叔男の大蔵事務官の各質問てん末書(三通)及び検察官に対する供述調書の謄本

一、検察官及び弁護人共同作成の合意書面

(法令の適用)

一、判示各事実につき、

被告人会社につき、それぞれ法人税法一六四条一項、一五九条

被告人楠見につき、それぞれ同法一五九条、刑法六〇条(被告人楠見の判示各罪につき、いずれも罰金刑を併科せずに懲役刑のみを選択)

二、併合罪関係につき、

被告人会社につき、刑法四五条前段、四八条二項

被告人楠見につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に加重)

三、被告人楠見に対する刑の執行猶予につき、刑法二五条一項

(裁判官 米田俊昭)

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